瞿壇寺は、青海省の楽都県に位置し、県城の南から25キロメートル離れた西北地区で、最も保存状態が完備されてきた明代の建物です。また青海省で有名なチベット寺院です。「瞿壇」は梵語で、「仏」という意味です。史書と碑文によると、明代、現地には仏教の寺があり、明の洪武26年(1393)に、太祖より「瞿曇」という額を下賜されました。
瞿壇寺は山を背にし、川に面し、とても静かです。1392年に建てられ始め、敷地面積は2.7ヘクタールに達し、建築の面積は約1万平方メートルです。全体は前、中、後三つの部分に分けられ、典型的な明代の宮殿式の建築群です。寺内は金鋼殿、瞿曇殿、宝光殿、隆国殿などから構成されています。両側には碑亭、壁画の廊下などがあり、その中でも隆国殿の規模が最も大きく、面積は912平方メートルです。構築風格は漢民族の影響を強く受け、中軸線の対称を重んじ、皇宮の建物と似ていたので、「青海故宮」と呼ばれていました。瞿壇寺は雄大な建物、貴重な文物、精美な壁画で世に名を知られ、1982年に全国重要保護機関になりました。
瞿壇寺の文物は、壁画がとても貴重で、寺内の両側には51間の壁画の廊下があります。その中の28間には、大きな彩色壁画が描かれ、面積は360平方メートル以上に達し、寺内に美しい石彫り、銅、泥人形及び銅鐘は珍しい芸術品です。青銅鐘は、高さ約1.8メートル、直径が1.5メートル、重さは1トンです。鐘の音は大きく、15キロメートル以上離れていても聞こえるそうです。隆国殿内には、もう一つ人々に称賛されていた清泉――瞿星池があり、巧みな工匠は、清泉の上に高さ3メートルの「泉神堂」をも造り、「殿内には堂があり、堂には泉がある」という奇観を形成しています。隆国殿の両側に廊下が造られ、現地人に「七十二間の走水庁」と呼ばれていました。瞿壇寺の現存文物の中でも、一番人目を引くのは「象背雲鼓」という石彫りです。象の背中に木彫りの重なる雲を載せて、雲の上に一つの太鼓を架け、人々に讃嘆されています。
瞿壇寺は毎年、旧暦六月十五日に、特色のある「花会」が三日間連続して行われ、参加者は楽都県の南山の蔵、漢の二つ民族を主としています。