塔爾寺(タール寺)は、青海省西寧市湟中県の西南部にある蓮花山にあり、チベット仏教ゲルク派(黄教)の開祖ツォンカパの出生地であり、ゲルク派の六大寺院の一つです。塔爾寺は青海省有数の名所旧跡であり、青海省の省都西寧市から26キロ離れています。
青海省では、塔爾寺はチベット仏教最大の寺院であり、原名「塔児寺」はツォンカパを記念するために建てられた大金瓦殿の大銀塔に由来して付けられた名前です。塔爾寺は1379年から建てられ始め、すでに600年以上の歴史を持ち、面積は45万平方メートルです。寺院は蓮花山にあり、高い建物と低い建物とが相まって、雄大な景観になります。大金瓦殿は、塔爾寺の主要建築物で寺院の中心にあり、緑の壁と金色の煉瓦によって輝いています。このほかに、小金瓦殿(护法神殿)、大経堂、弥勒殿、釈迦殿、文殊菩薩殿、大拉譲宫(吉祥宫)、四大経院、酥油花院、跳神舞院、僧舍などの建築が並んでいて、雑然としながらも趣に溢れています。そして、厳密に設計された塔爾寺は独特な風格を持ち、漢民族とチベット族の技術をともに活用した広大な建築群です。殿内には、生き生きとした仏像が安置され、神聖な雰囲気が漂っています。
壮大な建築、多種多様な法器、様々な姿勢の仏像、浩瀚大冊とも言えるほどの大量な文献や書籍。歴史を重ねた塔爾寺には、数多くの重要文化財が収められ、芸術の宝庫です。とくに、壁画、堆繍(解説1)、酥油花(解説2)は「塔爾寺の三絶」として国内外によく知られています。また、寺院には仏教の書籍や経典、文学、哲学、医学、法律などの学術書籍もたくさんあります。
解説1:タンカ(仏画の掛け軸)として作られた刺繍。いろいろな形に切られた布などを一つの作品に整えてから刺繍を施しています。
解説2:バターを原料として彫られた芸術品。仏像、花卉草木や東屋の彫塑などがある。
寺院では毎年旧正月、旧暦4月、6月、9月に大規模な法会が行われ、「四大観経」と呼ばれています。法会にあたり、各地から人が集まり、寺院では盛大なイベントが行われます。そのほかにも、旧暦10月下旬に行われるツォンカパを記念するための「燃灯節」、年末に行われる疫病神を鎮めるイベントもあります。