龍虎山
龍虎山は江西省鷹潭市の南から20キロ離れたところにある国家級景勝地であり、中国道教の発祥の地とされています。総面積200平方キロ、「神仙所都」「人間福地」と譬えられ、悠久の歴史を持つ道教文化、独特の「丹霞地貌」(赤みを帯びた堆積岩が織りなす地形)と清流が織りなす自然の風景、興味深い古墳群は、龍虎山の「三絶」として観光客を惹きつけています。元の名は「雲錦山」と言い、後漢半ば頃に道士の張道陵が、ここで不老不死の薬を作った時に龍と虎が現れたという説から、ここを「龍虎山」と呼ぶようになりました。
張道陵が不滅の真理を精一杯探求し、道教「正一派」のもとを開きました。その後、張氏子孫がここに定住し、代々正一派を守り、今まで既に1900年余り、六十三代目になりました。世襲時間においては中国で最も長い道教流派です。その影響力も強く、人々の中で「北孔(孔子)南張(張道陵)」と呼ばれています。現在、龍虎山の漢代天師府は保存状態が良く、道教の第一福地、正一派の祖庭とされています。敷地面積約3万㎡、なかに残された古建築は6000㎡余りにわたり整然と配置され、雄大で壮観です。建物は細部まで細かい彫刻などで装飾され、全体は朱塗り、古くて優雅な趣が漂います。天師府は歴代の皇帝より「宰相家」「大真人府」の号を賜り、その規模及び歴史、芸術的価値の高さから、曲阜市(山東省)の孔府に匹敵しています。
上清宮は後漢に創建され、開祖の張道陵が修業した場所とされています。中国で規模最大、最も古い道教寺院の一つです。歴代の皇帝は、大量の金銀貨幣を費やして寺を修繕、建設し、最盛期には10大宮、24殿、36院及び、その他の建築の数々が立ち並んでいたそうです。これらの建物はほとんど倒壊してしまい、現在は福地門、九曲巷、下馬亭、鐘楼、龍虎仙峰、玉門殿、東隠院、明代石刻だけが残っています。壮大なスケールで建設された寺院は、中国建築史上の一大奇観と言われています。
龍虎山景勝地は世界ジオパーク、ユネスコ世界遺産(自然・文化)に登録され、国家5A級景勝地、国家森林公園、国家重要文化財にも指定されています。近年、龍虎山を訪れる世界中からの観光客が後を絶ちません。観光客は風光明媚な所を堪能するため、道士(どうし、道教を信奉しその教義に従った活動を職業とするもの)信者たちは修業するため、学者たちは史跡を研究するためここを訪ねて、この山の醍醐味を味わっています。