紙馬とは、伝統的な祭祀用の神像を印刷した紙です。昔の神像では、神仏が乗馬している姿を描きますので、神像絵の紙馬と称されます。実際、紙馬は木刻白黒版画(製版して印刷した印刷物は版画と言われます)に属し、民間にしかない故に、他のイラスト入り書籍、仏経、道経の版画と区別するため、紙馬を民間版画と呼ばれます。
漢族が、いつから紙馬を使い始めたのは分からないですが、宋代から紙馬は、既に盛んになってきました。明朝の初期、雲南の漢族は大量移住の最盛期を迎えました。白族、イ族は漢族文化の影響を受けながらも、民族独自の宗教観念を持って、例えばイ族の「土主」、白族の「本主」「大黒天神」「小黄龍」などの民族神・地方鬼神を形成し、特色ある紙馬を生み出していました。一方では、雲南各地の漢族の紙馬は、伝統である信条そのままを継承しています。
現在、雲南紙馬は雲南中部、西北と南部で主に分布していて、なんと 三千六百種類以上もあるようです。雲南各地には地方なりの紙馬版式を持ち、村々によっては、内容ほぼ同じぐらい版式が異なっているバージョンがあります。例えば、「封門紙」は昆明だけでも5種類以上があって、各地の紙馬の中に必ずある「灶君」のバージョンも様々です。
紙馬の彫刻と刷りここでは雲南紙馬の例を挙げます。 雲南紙馬は基本的に木刻白黒刷りの技法を採用しています。聞くところによると、雲南紙馬はほとんど水印木刻(中国の伝統的な木版画印刷の方法。顔料を水で溶き、油性のものを用いないのが特徴)という技法を使っているようです。墨汁、インジゴ(青藍色染料)等の染色剤、万年筆用の赤、青い、黒インクを印刷する材料とします。
紙の質にこだわらないので、基本的に紙そのままの色を使ってもいいですが、多色の紙を必要する時もあります。例えば、「灶君紙」、「封門紙」などは赤色や黄色です。また紅河州にある36枚一セットの「清神紙」(神を迎える)の場合では、最初の一枚目である「清神娘娘」(女神を迎える)が赤色で、残りはすべて白紙です。雲南紙馬は、紙の色に対してのこだわりがあります。
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