彩色上絵
中国では古来より彩色上絵の技法があり、それは『丹青』と呼ばれています。中国の伝統的な建築物を彩るための装飾絵によく見られます。その後、朝鮮半島と日本に伝わり、広く普及され、その素晴らしさはより輝きを増しています。その技法は主に中国の生漆などで作った様々な色の絵の具を用い、絵の表面や漆面に塗り、いろいろな壁画や屏風、家具そして贈答品や記念品にいたるまで装飾することができます。彩色上絵は筆を用いてぼかしや微細にわたり描き、図案の紋様が精緻かつ優美で生き生きとしていて、色彩に品があり中国密画の濃い色彩の特徴もあります。
建物の彩色上絵
中国の建物の彩色上絵の歴史は2000年ほど前の春秋時代までさかのぼることができます。隋・唐の時代から広くつかわれ、清代には最盛期を迎えました。
清の建築物の大部分はすべて精緻かつ複雑で美しい彩色上絵に覆われていました。建物の彩色上絵は主に建築の梁、柱頭、窓の格子、門扉、斗拱、壁、たる木、手すりなどに描かれています。当時の彩色上絵は封建的な身分秩序の影響で、もっぱら、王官と寺刹などのような聖なる空間に用いられてきました。そのため、着色の面では統一化されていると言えます。北京の故宮の彩色上絵が典型的な例です。
建築彩色上絵は華麗な空間をつくり、人々に芸術の楽しみをもたらします。またそれと同時に色付けすることによって建物を日差しや雨などから保護し、建物の寿命を延ばす作用も果たしており、観賞性と実用性を兼ね備えています。
木彫り彩色上絵
木彫り彩色上絵は観賞用の木彫りで、一般的に戸棚や窓台、机などの上に置く装飾品としての小型の芸術品です。木彫り彩色上絵は紫檀、松、杉、楠、白檀、桐、花梨、桃、楓、樺、楡、ヒメ柘植の木などを材料として、立体彫刻の技法(奥行き感を出す彫刻の技法です)を用いて作られたものです。作品は色合いが鮮やかで、本物そっくりで生き生きとしていて可愛いです。また、題材が広範囲に及んでいて草花、鳥類、獣、女官、歴史の人物などいろいろあります。江蘇省の「世沢社」の木彫り彩色上絵は非常に人気があります。
そのほかにも、陶芸の彩色上絵や車の彩色上絵や人体彩色上絵などいろいろな種類の彩色上絵があります。