広東話の「橘」の発音は「吉」と同じなので、「金柑」と同じ発音の「金吉」と言えば橘が「吉」、金は「財」を意味し、金柑は「吉祥と富をもたらす」といいます。だから金柑は広東地方一帯で一番よい飾り物です。広東省や香港、広西チワン自治区などでは春節になると、ほとんどの家の入口やベランダに少なくとも二鉢以上の金柑の木が置かれています。そして木の枝にはご祝儀がくくりつけてあります。
春節の時期は水仙のシーズンです。寒い師走の季節、外は雪に覆われ、一方で室内にある水仙は金色と白の淡い香りのする小さい花を咲かせています。水仙を栽培するのはとても簡単です。土は必要ありません。磁器のお皿に少し水を張り、そこへ小石を並べます。そうすれば春節の頃になると花が開きます。
毎年、春節から旧暦正月十五日の元宵節にかけて「一家団欒」を象徴する赤い灯籠を灯しお祝いの雰囲気を盛り上げます。
北の地方では春節や結婚式などのお祝いの日に様々な切り絵の飾りを窓に貼ります。これは中国の伝統的な民俗風習の1つです。一方、南では一般的に結婚の時に貼ります。切り絵は本来、部屋を綺麗に掃除した後に貼られます。窓に貼る切り絵の内容はさまざまで題材も多く、中でも大部分は農村の生活や神話・伝説、戯曲物語を表すもので、また花や鳥、虫や魚、十二支などもよく描かれます。
対聯を貼るとき一緒に部屋のドアや壁に大小様々な「福」の文字を貼る家庭もあります。これは昔からの風習です。「福」は「幸せ」や「幸運」という意味があり、「福」の字を逆さまに貼ることで「幸福がすでに来た」、「幸せがすでに来た」ということを表しています。
大晦日の前にどの家でも年画や神さまの絵、対聯を貼る風習があります。年画は年に一度張替られ、1年間飾ってあるので「年画」と呼ばれています。庶民の年画や神さまの絵は俗に「喜画」と呼ばれ、一般的には年画は室内に、神さまの絵は門に飾られ、新しい年の吉祥を祈願し邪気を追い払うとされています。
『ネズミが妻を娶る』と呼ばれる年画は庶民の間でよく知られているものです。大晦日はネズミが結婚するのに良い日とされています。人間は食べ物をベッドの下や台所に置き、ネズミの新郎に贈り、来年の五穀豊穣をお祈りします。
毎年、春節には都市でも農村でも、各家庭では念入りに選んだ赤い春節の対聯を門の両脇に貼り、祝いの雰囲気を出しています。対聯は「門符」、「春貼」、「立春の掲示」とも呼ばれていて、春節の伝統的な飾り物です。年の初めに縁起が良い言葉を綺麗な字で書き、壁や門に貼ります。きちんと整い、対になっていて簡潔で、精巧な文字で春節を表現し、願いを懸けます。これは中国特有の文学形式でもあります。
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