二王廟
二王廟建築群は世界遺産に登録された重要な都江堰の一部です。岷江(注釈:長江の支流の一つ)の東側、玉壘山のふもとに位置し、秦の時代の李氷父子を祭るために建てられました。はじめは南北時代(420年—公元589年)に建設され、清の時代に再建されました。廟内には李氷父子の彫像があり、石の壁には治水に関する格言が刻まれています。後ろの神殿の右側には有名な画家の張大千や徐悲鴻などの篆刻が飾られています。庭園には色々な種類の貴重な植物が植えられ、巨大な木がそびえ立ち、とても涼しいです。ここは四川省の名所旧跡のひとつと言えるでしょう。
二王廟建築群は都江堰の東側にあり大規模かつ合理的な構造で幽玄な雰囲気に溢れています。総面積は5万平方メートル、そのうち主な建築物の面積は1万平方メートルあります。二王廟は東園と西園に分けられ、それぞれに庭園と建築群があります。廟はすべて地理的環境によって設計され、山を背景として建てられています。一般的な古代建築と異なり、二王廟は中軸線対称というスタイルをとっていません。周囲の環境の美しさもあり建築群は秀麗かつ壮大な姿を呈しています。
新しく建てられた李氷博物館内には李氷が水利の専門家として、また地方の官僚としての物語が紹介され、都江堰水利プロジェクトの各時代の様子も展示されています。廟の前にある内江と外江を繋がった安欄索橋は「中国古代五大橋」のひとつで、廟内の遠景楼からは都江堰の雄大な姿が眼下に広がっています。
2008年に起きた四川大地震では四川省のシンボルとしての二王廟は大きな損害を被りました。修繕工事はできるだけ元の材料を使い原案をもとに現地で行われました。修繕の計画、資金協力、技術及び人手の確保は国家文化局によって執り行われました。三年間の努力を重ね、二王廟は再び蜀の大地に佇んでいます。