麗江市は中国南西部、雲南省の西北地方にあります。チベット高原の南端、横断山脈南方、長江上流金沙江の屈曲部(玉竜ナシ族自治県石鼓鎮の長江第一湾)付近の谷に位置し、高原あり平地あり峡谷、雪山、谷川、草原ありといった複雑な地形と、変化に富んだ自然景観、気候が特徴的です。
麗江の歴史は古く、かつてはチベットと中国南西部を結ぶ「茶馬古道」の要所で、「南方シルクロード」がここを通っていました。貿易による繁栄とともに、何代にも渡り暮らしていたナシ族は、漢族、チベット族の優れた文化を受け入れて、 独自の文化を作り出しました。麗江は「中国歴史文化名城」の一つであり、国家重要景勝地と指定されています。
トピック:「歴史文化名城」は中国の文化遺産保護制度の一つで国務院が1982年に制定した制度です。歴史的価値や遺産価値のある現存する都市を保護する制度で現在100余りの都市がリストされています。麗江、拉薩(ラサ)などはその中でも地方の民族的特色のある箇所に属し、地域的、民族的に独自の特色を有する都市を代表します。
麗江は「ナシ族の故郷」で、中国唯一のナシ族自治県です。ほかにリス族、プミ族、ペー族、イ族が居住し、ここでは漢族より少数民族人口の方が多い地域で民族の文化、風習など見どころになっています。
四川、チベットの2つの地域に接している麗江の文化は、漢族文化、チベット文化の影響を強く受けて東巴(トンパ)文化となり、長きにわたり継承されてきました。この文化は世界稀なるもので文化遺産にもなっています。ナシ族独自の文字-トンパ象形文字には1400余りの単語があり、世界で唯一の生きた象形文字として知られています。書物が非常に多く、内容豊富なトンパ文字で書かれた経典、楽譜、絵本、儀式などは悠久で神秘的な異色を放っています。トンパ文字で作成された古代ナシ族の百科事典ともいえる宗教典籍「トンパ経」が残されており、2003年にはユネスコの世界の記録事業に登録され、デジタル保存が進められています。
麗江市はまた、数多くの名所のある都市として知られています。歴史、文化にまつわるスポットには麗江七大寺(文峰寺、霊照寺など)及び北岳寺、白砂古建築群、三聖宮などがあります。最大の見どころの麗江旧市街(麗江古城、世界遺産)は古い町並みが整備、保存され、水郷の様相を呈し、古城の中を水路がめぐり古城を潤しています。柳の枝がそよそよとゆれ、入り巡った路地にはきれいな石畳が敷かれ、水墨画のような水と山と街並みのコラボレーションを演出しています。玉龍雪山はその山麓全体が国家重要景勝地となっており、標高5596mの玉龍雪山をはじめ、南宋(1127年-1279年)時代の古建築、虎跳峡と呼ばれる深い峡谷、「長江第一の屈曲部」と言われる石鼓鎮、高山植生と独特の地形が見どころの老君山など、素晴らしい景観が広がっています。
麗江は、中国で最も生態系や環境の保全が進んだ町の一つとして、「東洋のスイス」と譬えられています。