中国甘粛省蘭州市の十里桃郷にある蘭州地震博物館は、1989年、長さ400メートルの大型防空施設を改造、利用して造られました。建築面積3500平方メートル。博物館の正門は数百年前に起きた地震でできた断層部分に建てられています。今もはっきりと残る断層面破砕帯は壮観です。
洞窟を利用した館内は、静かでほの暗く、木の根のようにくねくねと曲がりくねりながら延びています。ぼんやりとした灯りに照らし出される通路は非常に幻想的です。豊富な展示物を誇り、現在、中国国内最大の地震博物館となっています。
博物館は6つの分館に分けられています(地震知識壁画館、実物史料館、地震泥人形館、地震計器器具館、メディア館、地震書道絵画館)。壁画館はメイン通路に設けられています。壁画の長さは104メートル、高さ1.3メートル。383の地震に関する実話を基にした古今東西の物語と千人あまりの人物が描かれています。実物史料館には、300件余りの地震に関する文物と史料が展示されています。地震泥人形館には、“报马送信”「馬を走らせ知らせを届ける」、“夜守孤灯”「夜にともし火を守る」、“斩断恋情”「恋を断ち切る」などをテーマとした八組の泥人形が展示され、西暦138年に「張衡」作の地動儀が蘭州地震を感知した場面を再現しています。地震書道絵画館では、多くの地震に関する書と絵巻が収蔵されています。
張衡(ちょうこう、78-139年)。「候風」と名付けられた世界初の地動儀(地震感知器)を発明。ある日、地動儀の設置場所からみて西北方向の地震の揺れを感知したが、人々は少しの揺れも感じなかったために、地動儀の誤り、と誰も信じなかった。しかし数日後、甘粛からの急使によって地震の発生を伝えられた。
所蔵品の中には、中国国内外の地震に関する貴重な文物や資料が多数あります。たとえば、珍品と称される一万年前の地震生成物-固体化した砂柱と炭化した断層粘土、固原大地震の際に埋もれた貨幣の跡に砂が流れ込んで石化した“沙板”、中国最初の地震震度分布図-、清の時代に起きた山西平陸大地震の後、欽差大臣によって手書きされた地震震度分布御覧図、宋の時代の“天下一地震記念碑”銘文、文献など。