面塑
「面塑」は別名を「面花」、「礼餅(贈り物のマンジュウ)」、「 蒸し菓子」、「しん粉細工」と呼ばれる、もち米と小麦粉を練って作った小さい人形です。山西、山東、河南省、甘粛省などで盛んに作られています。歴史資料によると、中国の面塑芸術に関する記載は漢代まで遡ることができて、数千年の歴史を持っています。現在、面塑は貴重な無形文化財として保護されています。また、面塑は歴史、考古、民俗、彫塑、美学など分野の大切な研究資料です。
面塑を作るには、小麦粉、はさみ、包丁、くし、干しナツメ、サンショウなどが必要です。 手で面を何度も捏ねたり、こすったり、もんだりして、それから竹の彫刻刀で切ったり、刻んだり、割ったりして、人形を作ります。最後に飾り物と服を掛けると、生き生きとした面塑の作品が出来上がります。
面塑は収蔵用と食用の2種類の使用機能に分けられます。収蔵用の面塑は良質の小麦粉、もち米、塩、防腐剤とゴマ油などで作り、食用面塑は小麦粉、コーンスターチなどで作ります。
代表的な作品
山西省の面塑の特徴は形が誇張的で、生き生きとしたもの、色遣いがハッキリしたもの、洗練されたもの、シンプルなもの、豪快なもの、質素なもの、そして上品な美感に富んでいるもの等、地方独自の特色を持っています。
山西南部の新絳県、襄汾県の面塑は染色を重んじて、作品は華やかで奇抜です。霍州一帯のものは、質素で上品な特徴を持っていて、装飾や色彩は重んじられません。忻州や定襄では、色彩よりも形状を重視して、色は原料の色のままです。
済南の面塑は最も済南地方らしい特色を持つ工芸美術の一つです。有名な済南の面塑作家の李俊興は面塑技術をもって、中国各地、また東南アジア、ヨーロッパ、中東などを訪問したことがあります。済南の面塑は色が鮮やかで、手法がきめ細かくて、服装や飾りや表情などは極めて写実的かつ精緻であり、今にも動き出しそうな躍動感があります。特に中国劇人物の面塑が評判になっています。
上海の面塑は百年以上の歴史を持っています。最高の評価を得ているのは中国民間工芸第一人者の趙闊明で、「面人趙」とも呼ばれます。 彼の創作は伝統的な芝居や神話や伝説など広範囲な題材を用います。作品は服装紋様が簡潔な一方、表情豊富で生き生きとし、色彩が豊富です。 趙闊明の面塑は「立体の絵であり、音声の無い劇である」と賞されて、国内外で非常に高い名声を得ています。 趙闊明氏は面塑の長期保存の方法を見つけたので、彼の作った面塑はカビたり裂けたり変形することが無く、長期に保存することができます。 彼の娘と弟子達はその技を受け継いで、海外で出演の際は「東方の明珠」「中国の貴重な宝」と賞されています。