大足石刻は四川省の成都と重慶の間にあり、宝頂山石刻と北山石刻の2つに分かれている。前者は極彩色の石刻群、後者は小さな石窟群であるが、世界に広く知られている。唐末期から南宋にかけて造られた70余りの石刻は中国の晩期石窟文化の代表的なものである。
宝頂山石刻は中国が世界に誇る仏教遺跡の一つである。大仏湾と呼ばれる崖に、緻密に刻まれた仏の表情は皆すばらしい。ここの石刻は南宋時代のものが多く、仏像以外にも当時の生活、風習を表したものもある。また、これらには儒家の倫理思想が反映されている。宝頂山には31組の石刻が500メートルに渡って並んでいる。北山石刻は892年から250年余りの歳月をかけて刻まれた。約500メートルの長廊には日月観音や西方極楽世界など仏教をモチーフにした石刻が続く。宝頂山の石刻に比べて、繊細で壮巌な感じを受ける。