福建省は中国華南地方の南シナ海に面した省で、省都は福州市です。「閩(ミン)」という別称でも呼ばれます。中国で外国との貿易が最も早くから行われた省の1つです。「福建省」という省の名前は、唐の時代(618~907年)の福州と建州という2都市の名前に由来しています。
福建省の陸地面積は12万1400平方km。管轄する海域は13万6300平方kmにも及び、コロンス島、湄洲島などの島巡りは福建省旅行の目玉の1つです。コロンス島は、「海上庭園」「建築の万国博覧会場」「音楽の郷」「ピアノの島」などと称されています。
福建省は60.5%が森林で覆われ、「中国南部の緑の宝庫」と言われています。天然の良港として知られ、「海のシルクロード」はこの地を起点としていました。福建省に外国の文化と産物をもたらした鄭和(14世紀、明の時代の武将。東南アジア、インド、アラビア、アフリカにまで航海した)にとっても重要な港でした。福建省では、キリスト教、仏教、イスラム教が盛んです。また、媽祖(道教の女神で、航海・漁業の守り神。現在では旅人やビジネスマンの神でもある)信仰という独特の文化も見られます。
福建省の大部分は山地で、昔から「福建省を10に分けたなら、山が8、海が1、残りが農地」と言われています。
歴史と文化
福建省には長い歴史があり、5000年前にはこの地域に人が住んでいたことが知られています。彼らは、閩江下流域に新石器文化の昙石山文化を生み出しました。南宋の時代(1127~1279年)や元の時代(1271~1368年)、泉州は世界最大の貿易港として栄え、100ヵ国以上の国々と貿易を行っていました。有名な「海のシルクロード」の起点になっていました。
福建省は、フィリピン、マレーシア、インドネシアなどに住む華僑の故郷でもあります。国外で暮らす福建省出身者は1100万人もいます。
山がちな地形であること、また、中国華北・華中地方からの移民が歴史上幾度となく押し寄せてきたことによって、漢民族の多い地域の中でも福建省は言語的な多様性をもつ地域です。「五里不同俗、十里不同音(五里離れれば習俗が異なり、十里離れれば言語が異なる)」という諺の言う通りです。この地域の方言である閩南語には古中国語の特徴が残されており、「中国語の生きた化石」と呼ばれることもあります。
福建省では、様々なイベントが行われています。中国で最も美しい島とも言えるアモイ(廈門)では、2003年以来、毎年1月の第1土曜日にアモイ国際マラソンが開催されています。また、福建省は媽祖の生まれ育った故郷でもあり(媽祖は実在の女性が神になったと考えられている)、毎年4月25日と10月4日に媽祖祭が執り行われます。そのとき、数万人の台湾同胞と現地の民衆はすべてここに集まり媽祖を祭ります。媽祖節の期間は媽祖を祭り、媽祖の文化の研究会、工芸品の展示や販売をすることがあります。特色的な民間の歌舞を見ることができて、福建料理を味わうこともできます。
福建省の特産品
福建省の特産品としては、烏龍茶、鉄観音茶、龍井緑茶といったお茶、また、木の根に彫刻を施した根雕や福州寿山石刻などの工芸品が有名です。福建省を訪れる際には、是非お見逃しなく!
福建省の基本情報