仲秋の丸い月が輝く夜に、金木犀の花を愛でながら、金木犀で作る甘い酒を飲むことも上海の人々が中秋節を祝う、もう一つの風俗です。
上海で人々が中秋節を祝う風俗に、月を祭ることや、香闘を焚くことなどがあります。お月様を祭る事とは、月が出てくる時、室外に供物台を置き、その上に月餅、果物、枝豆、サトイモ、レンコンなどの食べ物と、薬物を搗く臼を持つ月宮の玉兎を書いた絵を備えることです。儀式を行うとき、男性は女性の後で月を拝まなければならないと定められていますが、男性が月を拝んではいけないところもあります。また、中秋節は家族団欒を祝う祝日なので、もし実家に帰った婦人は、この日は嫁ぎ先に戻らなければなりません。仲秋の夜に、お月見のために出掛けることを上海では「走月」と呼び、女性が集まって出かける事は「踏月」と呼んでいます。特に、上海市の東門の陸家石橋の「石梁月夜」は、「沪城八景」(上海は沪と略称されている)の一つとして大変有名で、仲秋の夜は大勢の人がお月見にここへ来ます。
また、上海の民間では中秋の日に香闘を焚く風俗もあります。香闘とは(あるいは闘香とも言いますが)、専門的な紙工芸の店で作られ、四角形の線香の束です。香闘は下の方より上の方が大きく、大きいほうの四辺の長さは二尺余りもあります、その線香の束は月宮の様子を描いている絹物に糊付けされています。この日は、上海市のあちこちで香闘を焚く儀式を行いますが、その中でも南園が最も盛大です。
上海の農村部では、中秋節に祖先を祭る習俗もあります。周りの人と一緒に祖先を祭る行事を行うこの習俗を、かつて「青苗会」と呼びました。農民たちはこの日の天候状況が、一年中の収穫と関わっていると考えています。
東方明珠は、中国上海市の浦東新区の陸家嘴に位置し、外灘との間に黄浦江が流れています。高さ467.9メートルの東方明珠は、上海市で最も名高い建物の一つです。とくに、東方明珠の中の回転レストランは、黄浦江周辺の素晴らしい景色と、中秋の夜の名月を愛でる絶好の場所です。
上海浦東新区における陸家嘴金融貿易区の中心地に位置し、上海で最も月に近い所と言われる金茂ビルは、黄浦江に隣接し、向かいは有名な外灘です。金茂ビルは世界四位、中国二位の高いビルと誇り、地下3階を加えて、合計88階で、高さは420.5メートルです。金茂ビルは、上海の代表的な建物と言っても過言ではないのでしょう。全部窓ガラスで飾られている観光ロビーから外を眺めると、黄浦江両岸の都会景色と揚子江のすばらしい自然風景の絶景が眼下に広がります。また、建築家に「タイムトンネル」と賛美されている金茂凯悦ホテルの庭の様子も俯瞰できます。
外灘の夜景は、上海で最も懐かしい景色です。夜の浦西外灘の古き「万国建築物の群れ」は、暖かい明かりに飾られ、やわらかく、上品のある古典美人のようです。それに対して、浦東新区陸家嘴の新たに建てられた「万国ビル建築物の群れ」は、夜の夢幻のような明かりに飾られ、眩しく、ファッションな現代美人のようです。両岸のネオンに照らされて、黄浦江に映るその一輪の月と空にかかっている月は、遥かに呼応しているようです。外灘、あるいは浦東滨江大通りの喫茶店でコーヒーを飲みながら月を愛でるのも、船に乗って月を追うのも、なかなか良い選択でしょう。
佘山はそれほど高い山ではないのですが、佘山を登りながらお月見をするのもロマンチックで異なる風情のあることです。それは山には人工的な明かりがなく、自然の月光の下でいっそう静寂を感じさせるからでしょう。更に素晴らしい事は、山の中の天文台で月を観測できることです。
昔の建築様式がそのまま保存されている、古い町の朱家角の東に流れている漕港河に架かる放生橋は、上海一の長さ、大きさ、高さを誇る五つの空洞のあるアーチ橋で、「沪上一の橋」と称されています。仲秋の名月の夜に、大勢の人が放生橋あたりの喫茶店で、のんびりとお茶を飲みながら、月が水の中から出るのを心待ちしたり、小船に乗り、水の中の月を追う人々を見たりすることは、とても面白いです。ある場所からは、橋の空洞の中で揺れている月がはっきりと見えます。
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