懸空寺(けんくうじ)は玄空寺とも呼ばれ、山西省の渾源県にあります。大同市中心部から南東に約65キロ向かったところにあります。懸空寺は、恒山の主峰-天峰嶺の西側にある翠屏峰の崖にへばりつくように建てられてあり、中国に一つだけ残っている、仏教、道教と儒教とを一体化した独特の寺です。恒山懸空寺は1400年前の北魏後期に創建され、その後何度も修繕を重ねました。懸空寺は地上60メートルにあり、最も高く位置した三教殿は地面から90メートル離れています。古代の職人は、道家の「不聞雞鳴犬吠之声」を体現すべく、この中国古代建築の精粋と見られる懸空寺を建立しました。
懸空寺には主要な建物が6つあり、これらは木製の桟道で結ばれています。寺内には多くの塑像が置かれていますが、三教殿には儒教、道教と仏教の三開祖の孔子、老子、釈迦の塑像が一堂に並んでおり、中国では稀有な眺めとなっています。現存する建物は明清代に修繕されたもので、1957年に山西省重点文化財に、1982年に全国重点文化財に指定されて、恒山十八景の「第一聖景」とされています。
建築的特徴
懸空寺の建築的特色といえば、「奇、懸、巧」三つの文字にあります。
「奇」とは、断崖に引っかかるように建てられたことに由来します。上に突き出た岩は傘の役目をして、寺を大雨から守ります。場所が高いため、洪水が来ても浸水することはありません。また、周りの山々も強い日差しを遮る作用を果たします。優れた地理条件によって懸空寺はよく保存されてきたのです。
建築的特色で次に挙げられるのは、懸空寺の「懸」です。この懸空寺には大小40の部屋があります。この寺は10数本が支えとなっていると見られていますが、実は寺を真に支えているのは、断崖に深く差し込まれた横木の梁です。これらの梁は、地元の特産であるツガの木を材料にしたものです。これら梁は桐油につけてあるため、シロアリの心配もなく、防腐作用もあります。このように、懸空寺は千年にも持ちこたえたのは、奇跡ではなく、古代職人の知恵にあるのです。
もう一つの特色は、「巧み」です。これは主にこの寺建立の際、地元の条件に基づき、断崖絶壁の自然的配置と、必要とされる寺の各部分の建築特徴に基づき、巧みに設計されたことです。たとえば、山門、鐘鼓楼、配殿などの特色な景観があります。また、寺内には80余りの仏像が置かれています。
懸空寺TOP6
周知の通り、一般の寺は平地に建てられるが、中国で崖に建てられた寺があり、それが有名な懸空寺です。これから有名な懸空寺TOP6をご紹介いたします。
1.江南懸空寺大慈岩
大慈岩は、浙江省建徳市の南側から24km離れる所に位置し、仏教文化と美しい山水風景が完璧に融合される有名な観光地で、古くから「浙西小九華」と美称されています。
断崖の高い洞窟建築は、大慈岩の大きな特徴です。大慈岩には、寺院、桟道、ロープウエーの至る所のすべてが「懸けること」を体現しています。主殿寺院地蔵王大殿は、山沿いで、高さ3m、長さ60m、幅20mの洞窟に建てられ、半分、岩に嵌まり、残り半分は空中に掛かり、大変険しくとても壮観です。山西省恒山懸空寺と同工異曲の妙を得ているので、「江南懸空寺」と呼ばれています。新建されたもう一つの寺院清風閣は、断崖絶壁の上に空高く懸かり、遠くから見ると雲を超えて飛びそうな姿勢で、寺に登り見下すと、遠近の山水風景が一望に収められ、さらに懸けることの極まりを体現できます。断崖に沿って造られた「天桟雲渡」は、蛇行して伸びた一つの石欄が成した廊下で、石欄に立って見下すと、現代の人は「足元の断崖は崩れそうに見える」感覚を持ちます。美しい山水風景―長谷渓流もまた大慈岩の一大特徴です。
2.山西省恒山懸空寺
懸空寺は玄空寺とも呼ばれ、山西省渾源県に位置し、大同市から約65km離れ、中国重要文物保護機関です。懸空寺は、1500年前の北魏王朝の後期に創建され始め、歴代の修繕を経て、北魏王朝は、道家の道壇を平城(今の大同市の南)からここに移し、古代の職人は、道家の「鶏の鳴き声、犬の吠え声を聞かずに」という要求に応じて懸空寺を建立しました。懸空寺は地面から高さ約50mで、中国の建築伝統と建築風格を発展させ、その建築特色は「奇、懸、巧」3つの文字にあります。
3.河北省蒼岩山懸空寺
蒼岩山の橋楼殿は、中国三大懸空寺の1つです。研究によると、石橋は隋の時代の建築で、趙州安済橋より更に古いものです。橋の上にある楼殿は唐の時代の建築で、西にあり東向きで、長さ15m、幅8mです。力学から見れば、この宮殿の重量と観光客が満載する総重量は、約35トンです。このまま推算すると、橋のアーチ部分の高さは3.5 mと4mの間にあるはずが、この橋は2.8mです。この橋は二山の間の断崖絶壁に位置し、豊かな色彩で飾られ、翼の部分が高く跳ね上がり、空高く懸かっています。高く届かない気勢と空中に舞い上がり飛びそうな姿勢です。内部には、釈迦牟尼、阿弥陀仏、薬剤師瑠璃光王仏の3体仏像があり、真ん中の後ろに観音仏像、殿内の両側に18羅漢の仏像が立っています。
4.雲南省西山懸空寺
三清閣は、大華山南側の羅漢山に位置し、北から南を眺めると、山の形は弥勒とよく似ているので、羅漢山と名付けられました。羅漢山は、断崖絶壁で、南側の掛榜山の絶壁と繋がり、山裾は広々としているテン池があります。三清閣9階建ての雲南省西山懸空寺十一閣道教寺院建築群は、重なり合った断崖絶壁の上に嵌まれ、「懸空寺」の険しい境界を開いています。三清閣が梁王の避暑宮とみなされましたが、実際、梁王の避暑宮は、三清閣、竜門より更に南方にあり、掛榜山の境に臨んでいます。1999年9月、徐霞客の『遊大華山記』などの歴史資料を根拠に、西山事務室の協力のもと、背丈ほど高い雑草を押しのけ、羅漢山南庵諸殿及び梁王避暑宮の遺跡が発見されました。
5.青海省西寧懸空寺
青海省西寧懸空寺は、北魏の時代に創建され始め、現在すでに中国第二大懸空寺となり、土楼観とも呼ばれ、シルクロード南線はここを通っています。懸空寺と賞賛されています。現存する洞窟には、隋唐から永慶年間かけての壁画の一部はそのまま保存され、芸術価値は非常に高く、嘗ては「西平莫高窟」と称されています。各階が重なり合い、構造がはっきりした土楼のように見える故に、「土楼山」とも呼ばれています。
西寧懸空寺は歴史上、北禅寺と呼ばれ、西寧市北山に位置し、山沿いで水も近いです。よく発育した丹霞地貌は奥までへこみ、大小異なる洞窟を形成し、古くは「九窟十八洞」と称されています。崖の間に宮殿が高く懸かり、宮殿、楼閣を桟道と回廊、洞窟と繋がり一体になっています。宮殿の中に洞窟があり、洞窟の中も洞窟があり、また洞窟の中に仏教諸神の仏像があり、中国第二基
6.河南省淇県朝陽山懸空寺
朝陽山の後ろに有名な清涼庵があります。清涼庵は、木々が茂り静寂爽やかで、当時、殷の紂王の避暑地で、清代・康煕52年(1713年)に再建されました。清涼庵の西側にある空高く懸かっている石拱橋を横切り、21の石段を経て、天然の鐘乳洞を通り抜けると、清涼庵に着きます。庵の後方断崖の上に、澄み切った山泉があり、日照りが長く続いても涸れません。泉の水は、甘くてさっぱりしています。清らかな泉と落ちる滝が谷間でお互いに反映し合い、まるで竜と虎が吼えているようです。山間と岩石の下に水がちょろちょろ流れ、大きく木霊する音は、美しいメロディーを出しています。石拱橋の西の断崖は、6つの洞窟が絡みつき、洞内には彫像および断崖記事があります。
朝陽寺と清涼庵の近くは、観光スポットが多く、例えば千仏洞、九竜柏、涙の石、飲馬泉、永眠道士墓、花台、聖儒峰、王莽洞、蓮花壁、天下第一門の尖山門、天書崖などの名所及び歴史、芸術、書道の価値が極めて高い、断崖の彫刻などがあります。