「扇子」は、竹、木、紙、などを材料に作られ、涼を運ぶ夏の必需品です。中国では現在、古くから用いられてきた「団扇」も含めた総称となっています。種類は紙扇、綿の扇子、絹の扇子、羽の扇子などがあり、竹文化・仏教文化にも深いつながりがあると言われています。
中国の扇子(団扇)文化は古くから起源しはじめます。当時の人たちは、夏の炎天下を、鳥の羽毛、あるいは植物の葉を工夫して陽の光を遮るために用い、これが扇子の原型と言われています。最初の扇子は、3000年ほど前、アシを用いて作られました。当初は涼を取るものではなく、儀礼に用いられ、また、権力を象徴する特別な道具とされていました。
扇子は、隋や唐時代(約6―10世紀ごろ)の辺りから、当時の学者層に好んで用いられるようになりました。貴族や学者たちが扇子に詩や画などを描いたことから芸術的価値が生まれました。明の時代(約15-17世紀ごろ)から、折り畳み式の扇子が流行りはじめ全国に広まりました。清の時代(約17-20世紀ごろ)は折り畳み式の扇子が発展した時代です。官僚と文人の間で競って用いられ、扇子は芸術品のみならず、身分と地位の象徴として大流行しました。このあたりから、ほかの国々、特にヨーロッパに伝わって行きました。民国時代の多くの肖像画や絵画の人物が扇子を手にしていることからも、扇子が文人や知識人などの身分・地位の象徴とされていたことがわかります。
杭州市、紹興市、蘇州市、また、広東省、福建省が扇子の名産地となっています。
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